何か好きなものに夢中になることを「沼にはまる」と言います。
感覚では、「趣味を楽しむ」よりも夢中度が5段階くらい上なのかなと思っていました。
「沼にはまる人々」(沢木文 ポプラ新書)を読むと、「好きなことがあっていいな~」というような呑気なものばかりではないことがわかります。
はまるもの
沼と聞いて思い浮かべるのが「推し活」。
地下アイドルやジャニーズ、宝塚、2.5次元ミュージカル、プロレスまで人はさまざまな対象を好きになります。
でも暴徒化(ジャニーズの場合は“ヤラカシ”と呼ばれるそう)しなければ、「押しがいるから生きていられる」という幸せを感じられます。
ただ人がはまる「沼」はいたるところにあります。
ラーメンにはまった人はお金と時間を使い体重も20kg増えたり、筋トレに過度にはまった人は、やめた後でも膝に痛みが残ったり。
まして美容整形、マッチングアプリ、ホスト、不倫などにはまると、もう依存症のすぐそばまで来ている場合も。
「沼にはまる」とは必ずしも幸せな人の話ではないことに気付きます。
うまくいく人・いかない人
中には「沼」のおかげで人生を引き開けた人もいます。
服が好きだった女性はプロのスタイリストに弟子入りするも大量を崩して半年で退職。
でも服好きは変わらず、お給料のうち20万円を服に費やしているうちに婚活専門のパーソナルスタイリストとして仕事をするようになりました。
ただこんな人はこの本の中ではわずか。
スパイスにはまってカレー店を始める、クラフトビールにはまって自社の店舗に醸造装置をつくる、サウナにはまって納屋をサウナにDIY、これらの人たちはいずれもうまくいかなかったようです。
はまる人の特徴
この本によると「物事を体系的に考え、属性を分析し、有機的につなげていく」ことができる人は沼にはまりやすいとのこと。
グルメにはまっても「おいしい」「やわらかい」としか言えなかったら、沼も深めようがありません。
沼を広げ深めるには素養も努力も必要のようです。
いっぽう、「刹那の快楽」を求める人がはまるのが、ホスト、キャバクラ、SNS、薬物、オンラインゲーム、不倫、浮気など。
こうした人の特徴は、現実への不満が大きいこと。
沼にはまっている自分を客観視できなかったり、周囲に認めてくれる人がいなかったりすると、「沼に引きずり込まれていく」とあります。
人がどの沼に、どんなふうにはまるのかは、その人自身を色濃く表しているようです。
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