自殺報道の難しさ

人気俳優、三浦春馬さんの死についてのニュースは、しばらくテレビやネットにあふれることになるのだろうと思います。

しかし、有名人の自殺についての報道が危険性をはらんでいることは以前から指摘されています。

ウェルテル効果

ドイツの文豪ゲーテが「若きウェルテルの悩み」という小説を発表したのは1774年です。

主人公の青年ウェルテルが恋に悩み、最後に自殺するこの小説は、当時のヨーロッパでベストセラーとなり、ウェルテルをまねた自殺が相次ぐなどの社会現象を引き起こしました。

そのため、いくつかの国はこの本を発禁処分にしたほどです。

その後、アメリカの社会学者ディヴィッド・フィリップスが、自殺が大きく報道された地域では、その直後に自殺率が増加していることについて調べました。

彼の研究によると、問題を抱えた人が他人の自殺の記事を読んだ場合、そのうちの何人かはそれを模倣して自殺するということがわかり、これを「ウェルテル効果」と呼びました。

また、若い人の自殺報道の直後に自殺するのは若い人で、高齢者の自殺の後には高齢者が、というように類似性があることもわかっています。

WHOのガイドライン

こうしたことから、WHOは「メディア関係者に向けた自殺対策推進のための手引き」というガイドラインを作り、「やるべきこと」「やってはいけないこと」を定めています。

「やってはいけないこと」は以下のようになっています。

・自殺の報道記事を目立つように配置しないこと。また報道を過度に繰り返さないこと。

・自殺をセンセーショナルに表現する言葉、よくある普通のこととみなす言葉を使わないこと。自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと

・自殺に用いた手段について明確に表現しないこと

・自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと

・センセーショナルな見出しを使わないこと

・写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

今回、このガイドラインはどのくらい守られたでしょうか。

「全然守られていないのでは?」と感じた方も多いのではないかと思います。

有名な人が亡くなれば人々の知りたい欲求も強いでしょうし、メディアもそれに応えようとしてしまうのでしょう。

それに、仮に報道がガイドラインを守ったとしても、ネット上で情報を探そうとすれば、真偽も定かでないものがいくらでも出てきます。

大きな悩みを抱えた人が、そうした大量の情報に触れることを想像すると空恐ろしくなります。

プロレスラー木村花さんへの中傷問題もありましたが、ネットも何らかのルールが必要なのかもしれません。

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小さいながらもブログをしている人間として、何をどう書くかについて無自覚であってはいけないと思いました。

三浦春馬さんのご冥福をお祈りします。

読んでいただきありがとうございました。
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