阿部絢子「ぶらり、世界の家事探訪」感想

暮らしに関する著書を出している阿部絢子さん。

海外でホームステイして、その国の暮らしの実情を調べることもしています。

「ぶらり、世界の家事探訪」はフランス、ポーランド、フィンランド、ノルウェー、イタリアの5か国で体験したことが書かれています。

EILに依頼

阿部さんがホームステイ先を決めるのは、「日本国際生活体験協会」(通称EIL)に依頼しているそうです。

この団体は世界中に存在するものの、世界情勢の変化から活動休止の国が多くなっていて、現実的に行き先選びは難しくなっているそう。

本書の内容も、2003年から2019年までの記録です。

そしてホームステイ自体、週単位での費用が必要になります。

阿部さんは1週間のホームステイで、総額20~25万円を用意するそうです。

ホームステイ先の女性

フランスでは、古い家に手を入れながら住み、下宿人を2人置いている料理上手の女性の元にホームステイ。

フィンランドでは、改装した元小学校に住んでいる、人形作家の女性の元へ。

この彼女が持っている服は10着ちょっと。それに数着のコート類、ストール、肌着類。靴は10足足らずだそう。

こうしたヨーロッパの女性たちの暮らしをもっと読みたかったなと感じます。

滞在期間がそれほど長くないので、そこまで詳しく知ることができないのでしょうね。

積極的に家事をする男性たちや、リタイア後の優雅な暮らしをしている夫婦も登場します。

つい日本と比べてしまいます。

残り時間を楽しむ「ニンジン」

現在76歳の阿部さんは、「残り時間」を考える齢になったと言います。

この先、目の前に吊るして、人生を楽しんでいくためのニンジンを、大・中・小に分けて考えているそうです。

まず小は、日々を楽しく過ごすためのもの。

必ず1日の終わりにお酒を飲み、ちょっとおいしい肴があればよし。

中ニンジンは年単位の楽しみ。

海外暮らし体験、地方に旅する、友人のところにでかける、など。

大ニンジンは2つ。

1つは海外ちょい住み、2つ目はこれまでのまとめ本執筆。

この二つは叶う前に死が来るかもしれないけれど、ニンジンだけは吊るしておきたいそうです。

こうしていろんなニンジンをぶら下げておけば、「人生終末までの時間を気ままに、面白がりながら、好奇心全開に、満足して過ごしていける」。

年齢などどこ吹く風、ですね。

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