毒親という言葉をよく目にするようになりました。
この言葉を最初に使ったスーザン・フォワードは、「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」を指す言葉として使っています。
最近読んだ、脳科学者の中野信子さんの本でもこの毒親について触れている部分がありました。
オキシトシンによる愛着
愛情ホルモン、幸せホルモンなどと呼ばれるオキシトシンという物質があります。
妊娠時や出産時にはオキシトシンが大量に分泌されることから、赤ちゃんに対して強い愛着を形成します。
この愛着が果たす重要な役割の一つが、母親が子ども達から離れないように仕向けることです。
幼くてまだ単独行動が危険な子どもに対して、母親をずっとそばにいさせて、その子が成長するまでサポートさせるのが目的です。
オキシトシンによって、母親の脳は子どもから離れると不安を感じるように変えられているのです。
子どもが小さいうちは、オキシトシンによる機能はうまく働きます。
問題は、子どもが大きくなってからもオキシトシンによる愛着が残り続けてしまうことです。
子どもを手放せない
たいていの母親は、子どもが独り立ちしていくのを寂しさを感じながらも、子どもがちゃんと成長した喜びを感じて、時間をかけて受け入れていきます。
しかし中にはそうできない母親がいます。
彼女たちは自分の幼少期の愛着パターンの影響を抜け出しきれず、オキシトシンの働きも安定していないために人間関係をうまく築くことが苦手です。
こういう人は、身近な人が苦しんでいるとき、非常に強いストレスを感じることが分かっています。
大人になった子どもが何かで苦しんでいると、それを見てまるで自分がその苦しみを味わっているかのように感じます。
そして辛さでいっぱいになってしまい、本当に必要なことは何もできなかったりします。
厄介なのは、我が子と同じように苦しんでいる自分こそが、母親として正しいのだと信じて疑わない場合があることです。
子どもの苦しみに対して何も対応しないわけなので、子どもにとっては負担にしかならないのですが、当の母親は自分は素晴らしい母親だと思っているのです。
空洞を埋める存在
子どもの苦しみに対して、何かしらの対応をしなくてはいけないと感じる母親もいます。
その場合は、指示が感情的だったり場当たり的だったり、「あなたのためを思って」「良かれと思って」という言葉とともに過干渉に近い口出しをされることもあるようです。
こうした母親はいつも心に空洞を抱えていて、その空洞を埋める存在として子どもを必要としています。
だから、子どもが自分から離れて行こうとすると、急にモンスター化してしまうのです。
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なぜ子どもに対して毒親になるのか不思議に感じていましたが、少しわかった気になりました。
毒親を持った子どもは1日も早くその関係から脱出することを、本でも勧めていました。
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