料理愛好家の平野レミさんが、夫のイラストレーター和田誠さんを亡くして1年たちました。
入院した夫のもとに通っていた日々、家に帰ると必ず和室に飾られた額を見上げていたそうです。
そこには、レミさんのお父さんが娘に送った言葉がありました。
朝日新聞の記事の内容をご紹介します。
父親の詩
お父さんが送った色紙にはこう書いてありました。
風つよければ 神さまは 靴のかかとに 棲み給う
レミさんが意味を聞くと、「何だっていい。詩なんて好きなように解釈して構わない」と言ったとか。
平野威馬雄氏
レミさんのお父さん、平野威馬雄(いまお)さんは仏文学者で詩人でした。
昆虫学者ファーブルに関する本の翻訳や、南方熊楠の評伝、UFOやお化けの話など約300冊もの本を出版しました。
威馬雄さんのお父さんは米国人だったため子ども時代にいじめられたことから、「家なき子」の主人公名を冠した「レミの会」を主宰し、「混血児」と呼ばれて差別された子どもたちを支援してきました。
レミさんが高校時代に学校の空気になじめず悩んでいると、「やめろやめろ。もっと自由な学校に行けばいい」と中退を認めたそうです。
レミさんの結婚
ウィキペディアによると、レミさんはお父さんの言葉に従い都立上野高校を中退し、文化学院在学中にシャンソンを学び、デビュー。
その後、TBSラジオで久米宏と組んで仕事しているとき、番組を聞いた和田誠がレミさんにほれ込み、麻雀仲間の久米宏に紹介を頼んだそうです。
でも、番組中にレミさんに振り回されることの多かった久米氏は
「あの人は絶対にやめたほうがいいです。人生を棒に振りますよ」
と断わったとか。
しかたなくTBSラジオのディレクターに紹介を頼むと、
「紹介してもいいですけど、責任持ちませんよ」。
レミさんと和田さんは出会って1週間で結婚したそうなので、周りが何と言おうと関係なかったってことですね。
レミさんと結婚した和田さんは、レミさんのお父さんとすぐに意気投合したそうです。
娘を見守る
お父さんから詩の書かれた色紙をもらったのは結婚直後のことだったそうです。
「父が私のかかとを支え、『レミ、倒れないようにしているから大丈夫。くじけず踏ん張れ』と見守ってくれる気がしました」
自由奔放で暴走気味。
「生きる放送事故」とも呼ばれているレミさんの性格は、お父さんに見守られて育まれたのかもしれません。
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