行き詰ったり、問題が起きたときの解決法の一つに、「ルビッチならどうする?」というものがあります。
これといった人物を一人決めておき、迷った時に「彼/彼女なら、どうするだろうか?」と考えるという、発想法の一つです。
「あの人だったらどうするだろう?」と考えることはありますが、それをもっと意識的にする感じです。
映画監督ワイルダー
この方法を考えたのは、ハリウッドの映画監督ビリー・ワイルダーです。
ワイルダーは50年以上映画に関り、60本以上の作品に携わった映画監督、脚本家、プロデューサーです。
代表作は「ローマの休日」「昼下がりの情事」「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」など。
ドイツ生まれのワイルダーは、渡米後に鳴かず飛ばずの脚本家だったころ、映画監督エルンスト・ルビッチに採用され、次々とヒット作を作るようになりました。
ワイルダーは自身が有名になった後も、ルビッチが亡くなるまでルビッチ邸に居候するなど名実ともに師弟関係にありました。
ワイルダーは、自分のオフィスに「How would Lubitsch do it?(ルビッチならどうする?)」という言葉を掲げ、絶えずこれを仰ぎ見ては、名匠ルビッチだったらこの映画をどう撮るだろうかと考えを巡らし、インスピレーションを得たと言われています。
私淑なら今すぐでも
こうした濃密な師弟関係を作ることは難しいですが、「私淑」であれば今すぐにでも始めることができます。
私淑とは、「直接教えを受けることはできないが、ある人をひそかに尊敬し、規範として学ぶこと」です。
「その人」が著作や作品を残しているなら繰り返し触れ、伝記や言行録があるならそれも読み、そうしているうちに、自分の問題についても「彼/彼女ならこんなふうにするのではないか」と思いつくようになっていきます。
優れた人物の思考法を使って、まるで本人が言ったかのように発想できるようになるということです。
賢人会議
「ルビッチならどうする?」では一人ですが、これの複数版もあります。
伝説の名経営者や歴史上の偉人たち数人を招集し、重要な問題を検討してもらうという発想法もあります(「賢人会議」と呼ばれています)。
もちろん、ワイルダーにとってのルビッチのように、招集する賢人たちの考え方をよく知っていないと、なかなかうまく発言してもらえなくて、何のヒントも得られないことになります。
ルビッチも賢人会議も、結局答えるのは自分なのですが、誰かの考え方を借りることで発想力が広がるのでしょうね。
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