児童文学者の角野栄子さん。
ジブリアニメ「魔女の宅急便」の原作者です。
「「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出」というエッセイを読んでいたら、宮崎アニメについて書かれたところがありました。
原作者ってアニメ化について、どんな風に感じているんでしょう。
エッセイには、「私の本は宮崎さんと幸せな出会いをしたのだなと思う」とありました。
空の底
子どものころから空をずっと見ていた角野さん。
そのうち、空の底は黒い色に溶け込んでいて、そこには何か怖いものがあるように感じるようになります。
空を飛ぶ魔女の話を書きながら、魔女を飛ばすのはこの黒い色ではないかと思っていたそうです。
映画化の話が持ち上がったとき、宮崎監督が角野さんの空の黒をどう感じるか、楽しみでもあり心配でもあったとか。
映画の中で、魔女キキが旅立つとき、一切の音が消え、荒い風に髪が逆立ち、スカートが大きく膨らむ。
その一瞬の風の中にあの黒い色があると思い、自分の思い入れが生かされている喜びを感じたそうです。
ジブリアニメの魅力
映画を見た角野さんは、一瞬にして見る者をつりあげる色と音と映像、ライブの一体感に感心しています。
アニメーションは文字では味わえないものをたくさん持っているのだなと思う、と。
映画を見た15歳の少年は、誕生日にもらったお金で原作を買ったという手紙を送ってきたそうです。
15歳の少年が欲しいものはたくさんあるだろうに、もう見た映画の原作に投資する、そうさせる力が宮崎アニメにはあるのだろうと。
「活字か映画かなどと目くじらをたてずに両方のよさをすんなり使い分ける。そういうことをこともなげにやってしまう人が増えてきているのではないかと思う」
原作か映画か
原作が映画化されると、どちらがいいか・好きかを考えてしまいますね。
私の場合は最初に触れたのがどちらかによって、どっちがいいか変わってきます。
本が先なら本のほうがいい、映画が先なら映画のほうがおもしろい。
でも「魔女の宅急便」はそう単純ではないです。
「魔女の宅急便」は原作とアニメでは全く別の作品と感じるほど雰囲気が違いますが、どちらもいい作品だなと思います。
原作もいいのですが、主人公をあそこまで万人受けするキャラクターに作り上げる宮崎監督の手腕はすごいと感じました。
「幸せな出会い」という角野さんも満足されているのでしょう。
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