今は夫婦二人暮らしですが、いずれ私は一人になるでしょう。
なにせ90歳を超えて生きる確率は男性が4人に1人、女性が2人に1人です。
どうやって死ぬかなんてまだ何も考えていませんが、本屋で目に付いた本を買いました。
「在宅ひとり死のススメ」(上野千鶴子 文春新書)です。
東京大学名誉教授の上野さんは女性学、ジェンダー研究、介護研究のパイオニア。
これまでも「おひとりさまの老後」シリーズを書いていて、シリーズ累計111万部だそう。
最後は自分の家で
なんとなくですが、うんと年を取って足腰が立たなくなったら施設に入って死ぬのかなと思っていました。
でも、お金は足りるんだろうか、施設もピンキリだろうし(虐待のニュースを見聞きすることもありますね)、どうやって探せばいいのか、不安は次々に出てきます。
でも、本書によれば最後まで自宅で暮らすことは可能だそう。
看取りのコストは「病院」>「施設」>「在宅」だそうです。
要介護認定を受ければケアマネがつき、疾患があれば訪問医と訪問看護師につながります。
在宅のままゆっくり下り坂を下って、ある日在宅で亡くなる……、ということができるとあります。
病院であっても、終末期の高齢者に24時間誰かが張り付くことはなく、何時間かおきに巡回に来るだけ。
それなら定期巡回の訪問介護を受けるのと同じだと言います。
モニターにつながれて最後を迎えることを「病院内孤独死」と呼ぶ人もいるようで、心配なら家に緊急コールをつけることもできます。
認知症になっても
認知症になっても、在宅で暮らすことができるそうです。
独居の認知症患者さんのほうが周辺症状が穏やかで機嫌よく暮らしているとのこと(もちろん個人差あり)。
生活習慣が維持できなくなっても、訪問介護に入ってもらえば食事も入浴もできます。
実際、独居の認知症の高齢者を、在宅のまま見送ったという事例もあるそうです。
介護保険はすごい
今の日本では長寿はめでたいことというより、死にたくても死ねない、などと表現されることもあります。
でも、本書を読んで目の前が少し明るくなった気になりました。
それもこれも、介護保険のおかげ。
本書では1章を割いて介護保険のいいところや問題点をわかりやく説明してくれています。
日本の介護保険は、諸外国の福祉先進国に比べて、制度も担い手もケアの質も、決して見劣りしないらしいです。
著者の上野さんは、海外在住の日本人に、「老後を過ごすなら日本がいいかもよ」と勧めているそうですよ。
コメントを残す