コロナになる前から、ひきこもりのような生活をしています。
子どもが独立したので、毎日話す人は夫だけという日も珍しくありません。
人付き合いしなくていいのは楽だと思っていたのですが、いいことばかりではなく。
興味がわかない
ずっと家の中にいると、「あれしたい」「あそこへ行きたい」と思うことが少なくなってきます。
それだけならまだいいのですが、何を見ても興味がわかなくなってきている気もします。
私は本が好きなのですが、本屋で読みたい本が見つからないこともありました。
このときはパソコンの使い過ぎだったのを(自覚あり)減らすようにすると多少改善したので解決したと思っていました。
そんなとき精神科の医師の書いたものを読んだところ、私に当てはまる……。
ひきこもりはお金を使わない
精神科医の斎藤環氏は「人に会わないと、欲望は減退する」と言っています。
長年ひきこもりの人を診てきた斎藤氏によると、ひきこもりの人は、朝起きて、ご飯を食べて、日がなぼーっとして寝る、みたいな人も珍しくないとか。
多くのひきこもりの人の生活費は、住居費や食費、通信費など全部含めて、年間100万円もかかっていないそうです。
お金を使わないというより、欲望が減退して、使えないと言ってもいいほど。
斎藤氏は、ひきこもりの回復の指標として消費活動をどれだけするかだと考えているそうです。
他者の欲望
ひきこもると、なぜ欲望の低下が起こるのか。
フランスの精神分析家ジャック・ラカンは「欲望は他者の欲望である」と言っています。
ラカンは、欲望や意欲というものは、自分の中から自然に芽生えるもののように見えて、実は他者が起源で、他者から供給し続けてもらわないと維持できないと説いています。
人は、なぜか人の欲しがるものを自分も欲しいと思ったり、自分の欲望を人に見せつけて、その承認を得たいと願ったりします。
しまいには「満たされない欲望を持ちたいという欲望」を持ってしまうこともあります。
斎藤氏によると、自分の内面をほじくり返して欲望を見つけられるとしたら、それは「よほどの天才」で、人間の欲望には必ず他者が関わってくる。
したがって、すすんで他者との関係を断つような環境にいると、欲望を維持できなくなってしまうということです。
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私がひきこもりのような生活を続けるうちに、なんとなくやる気や興味を失ってきたように感じるのも、気のせいではなかったようです。
「欲望」を取り戻すには「人と会うこと」。
人付き合いは面倒なこともあるしできれば避けたいけれど、必要なことなのですね。
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