自分のことを「体ボロボロ」とか「もう年寄りになった」などと冗談のつもりで口にすることはありませんか。
こういう自分で自分を老人扱いすることは、いくら冗談のつもりでもよくないらしいです。
オクラホマ大学の研究
米・オクラホマ大学の公衆衛生学者、ジュリー・オバー・アレンは、「健康に老いる」にはどうすればいいかを研究しています。
日常的に「老人扱い」の言葉や行為にさらされる機会の多い高齢者ほど、高血圧や糖尿病のような慢性疾患を抱え、あるいは鬱状態に陥っている確率が高いことがわかったそうです。
アレンらの研究では、まず年齢差別に関する10種類の質問を用意します。
「加齢は魅力的じゃないという話を見聞きする」、「年を取れば健康が衰えるのは当然」などです。
それらに接する頻度を答えてもらい、自分の健康状態について4項目の自己評価(慢性疾患の有無、抑うつ感の有無など)をしてもらいます。
両方の回答を分析したところ、年齢差別に接する機会の多い人ほど、健康リスクも高いことがわかりました。
マイクロアグレッション
アレンが調べた50~80歳のアメリカ人2035人の約93%が、加齢に関する不快なメッセージを日常的に受け取っていると言います。
「もう年だから」の一言や、アンチエイジング薬の宣伝文、見知らぬ人から妙に大きな声で話しかけられる経験など。
心理学では「マイクロアグレッション(小さな攻撃性)」と呼ばれるもので、そういう言動も積み重なれば相手を傷つけることになるのだそうです。
年齢差別が直接的に健康を悪化させるという証拠はないものの、老化について前向きな考えを持つ人ほど健康的な食事をしており、ストレスホルモン(コルチゾール)の数値も低いという研究結果があるそうです。
日常的に年齢差別に接していると、コルチゾール値や血圧が上がり、結果として心臓疾患や糖尿病の悪化につながるのではないかとアレンは推測しているとか。
自虐もよくない
自分の健康や容姿について自虐のつもりであっても口にすることは、「エイジズム(年齢に対する偏見や差別)」をわざわざ自分に聞かせているようなもの。
研究者のアレン自身、十代の息子が自分を年寄り扱いし始めたのは、アレン自身が自分の老化について飛ばしていた自虐的なジョークから来ていたのだと分かって以来、自虐的なジョークはきっぱりやめたそうです。
まず自分が自分を大切にしなくてはいけませんね。
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